新たな世界規模の分析によると、2024年には感染症が約230万例のがんを引き起こしたと推計され、これは同年の新規診断全体のおよそ12%に相当する。医学誌「The Lancet Oncology」に発表されたこの研究は、すでにがんとの関連が知られている12種類のウイルス、細菌、寄生虫を評価し、がん登録に基づく推計と、特定の腫瘍を持つ人々にそれらの感染症がどの程度みられるかというデータを組み合わせた。
その負担は一部の病原体に大きく集中していた。分析によれば、感染に起因するとされる症例のおよそ92%を4種類の病原体が占めた。胃の中に持続感染することがある細菌、ヘリコバクター・ピロリは、主に胃がんの約76万例と関連していた。ヒトパピローマウイルス(HPV)は、子宮頸がん、陰茎がん、咽頭がん、口腔がんの推計75万例に関与した。B型肝炎は36万例、エプスタイン・バーウイルスは26万例との関連が認められた。
これらの数値が重要なのは、いくつかの感染症は予防や治療が可能だからだ。HPVとB型肝炎にはワクチンがあり、ピロリ菌は検査で見つけ、抗菌薬で治療できる。そのため研究は、たばこ、アルコール、食生活、身体活動、環境リスクへの既存の対策と並び、感染症対策をがん予防の一部として位置づけている。
利用できる対策には依然として格差がある。報告によると、低・中所得国は感染関連のがんの負担の77%を占め、HPV関連のがんでは約81%を占めていた。それにもかかわらず、2024年にHPVワクチンを少なくとも1回接種したのは、世界の接種対象となる思春期の女子の31%にとどまり、世界保健機関が掲げる90%の目標を大きく下回った。報告で紹介された研究者や臨床医は、費用や追加受診の障壁を軽減する一つの方法として、HPVワクチンの1回接種プログラムを挙げた。
予防の状況は病原体によって異なる。B型肝炎ワクチンは、後に肝がんにつながる感染を減らすことができる。ピロリ菌については、研究者がより広い集団を対象とする検査と治療に加え、ワクチンを研究している。エプスタイン・バーウイルスには承認済みのワクチンがない。このウイルスは複数のタンパク質を使って細胞に侵入し、生涯にわたり体内にとどまるため、開発は難しい。感染自体は極めて一般的だが、エプスタイン・バーウイルスに感染した人の大半ががんを発症することはない。
推計には重要な限界もある。基礎となったがん登録は世界の人口の一部しか網羅しておらず、とりわけアフリカでは対象範囲が限られるため、研究者はより充実したデータが必要だとしている。この分析が示すのは集団レベルで感染に帰属する割合であり、個々の患者のがんの原因を特定する方法ではない。こうした留保があっても、世界のがんの負担のうち予防可能な大きな部分を明らかにし、ワクチン接種、感染症の治療、監視体制の強化をがん対策の手段とみなせる理由を示している。



