出来事が起きた2024年11月7日、ドイツは、同国内で米軍に勤務中、米軍に関する機密情報を中国へ渡そうとした疑いのある米国人を逮捕した。
連邦検察庁によると、ドイツのプライバシー規則に基づきマーティン・Dとのみ特定された男は、木曜日にフランクフルトで逮捕された。検察は、男が外国情報機関の工作員として働く用意があると表明し、2024年に中国当局者と接触して、米軍に関する機密情報を引き渡すと申し出たと主張している。また、男は最近まで米軍に勤務していたという。
この事件は直ちに、ロシアと中国の双方に関連するスパイ活動への欧州の懸念の高まりに拍車をかけた。ドイツ当局はここ数カ月、北京によるスパイ活動のリスクが高まっていると警告し、政府や企業の機微な職務に就く職員への保安審査を強化している。今回の逮捕は、技術移転疑惑や中国情報機関のために働いた疑いに関する捜査など、ドイツで相次いだ他の防諜事件に続くものでもある。
この事件を注目すべきものにしているのは、その舞台だ。検察によれば、容疑者は遠くから観察していた人物ではなく、最近までドイツにおける米軍組織の内部にいた人物だった。そのアクセス権により、外国情報機関にとって有用となり得る情報を持って中国当局者に接近する機会を得た疑いがある。
検察によると、捜査はドイツの情報機関と緊密に連携して行われている。この点は、当局が疑惑を通常の刑事事件ではなく、国家安全保障上の緊急事項として扱ったことを示唆する。報道によれば、これまでのところ中国も米国も逮捕について公に反応していない。
ドイツは、スパイ活動への懸念に対する対応を強化するよう圧力を受けてきた。4月には、中国海軍を強化し得る技術を引き渡そうとした疑いでドイツ人3人が逮捕され、同じ月には、ドイツの極右政治家に仕える欧州連合(EU)の職員が中国情報機関と協力したとして告発された。これらの事件は、スパイ捜査の対象がもはや単一の敵対国に限られないという認識を強めた。
より広範な政治的背景も重要だ。ベルリンと北京の関係には緊張が強まっており、欧州当局者はスパイ活動のリスクを、貿易、技術、軍事協力と結び付けることが増えている。したがって今回の逮捕は、同盟の安全保障と国内の防諜活動が交差するところに位置している。
現段階では、疑惑はあくまで疑惑にとどまる。検察は、男が情報提供を申し出て外国機関のために活動しようとしたとしているが、その告発が立証されるかどうかは裁判手続きによって判断される。それでもこの事件はすでに、防諜上の懸念が抽象的なものではないことを改めて示している。それは実際のアクセス権、実在する組織、そして場合によっては軍事機密が現実に漏えいする可能性に関わる。
検察の説明が裏付けられれば、今回の逮捕は、国家安全保障上の脅威が信頼された環境の内部でいかに急速に生じ得るか、また、容疑者が外国勢力と接触するまでそれを発見することがいかに難しいかを示すことになる。



