出来事が発生した2024年11月19日、ロシアは、ウクライナが米国供与のATACMSミサイルを初めてロシア領内に発射したと発表した。事実であれば、戦争の及ぶ範囲が大きく拡大したことになる。
ロシア国防省によると、攻撃はウクライナ国境に近いブリャンスク州の弾薬庫を直撃した。モスクワは、5発を撃墜し、残る1発の破片が軍事施設で火災を引き起こして損害を与えたと発表した。米当局者2人はBBCに対し、初期段階の情報では、発射された約8発のうちロシアが迎撃したのは2発だけだったことが示唆されていると述べた。BBCは、この食い違う数字を独自に検証できなかったとしている。
報道は、ウクライナがこれまで使用してきたシステムよりはるかに射程の長い兵器が、政治的緊張の高い状況で初めて使用されたことを示している。ATACMSの射程は最大300キロで、速度が速いため迎撃が難しい。米当局者は、BBCの米国提携先であるCBSニュースに同システムの使用を確認したが、ウクライナ自身はコメントしなかった。
BBCの報道によると、この攻撃はワシントンが同種の攻撃を許可した翌日に行われた。このタイミングが重要なのは、戦場での展開が、米国のより広範な政策転換と結びついたためだ。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、この出来事を利用してワシントンをエスカレーションだと非難し、モスクワは今回の動きを、欧米による対ロシア戦争が新たな様相で再開されたものとして扱うと述べた。
同時にクレムリンは、ロシアの核ドクトリンの変更を承認し、モスクワが核兵器の使用を検討する新たな条件を定めた。改定されたドクトリンは、核保有国の支援を受けた非核保有国による攻撃を共同攻撃として扱うとした。BBCの報道は、ミサイル発射とドクトリン変更が同じ週に起きたことを示し、軍事面でも言葉の上でも対立がいかに急速に激化していたかを浮き彫りにした。
ウクライナはすでに1年以上にわたり、自国領内のロシア占領地域でATACMSを使用してきた。報告された攻撃の重要性は、ウクライナが保持する地域の外も含め、ミサイルの使用範囲がロシア領のさらに奥深くへ広がったように見える点にある。BBCはまた、ウクライナ軍がクルスク州で1,000平方キロメートルを超える地域を保持しており、同地でもこのミサイルが使用される可能性があると指摘した。
ロシアは、落下した破片による火災は速やかに消し止められ、死傷者はいなかったと発表した。ウクライナ軍はこれに先立ち、ブリャンスクの弾薬倉庫を攻撃し、12回の誘爆が起きたと発表したが、ATACMSを使用したかどうかは明らかにしなかった。
その結果、同じ出来事をめぐる相反する主張、双方による戦略的な情報発信、正確な損害について直ちにはほとんど明確にならないという、戦時下ではおなじみの構図となった。現時点の証拠から明らかなのは、ミサイルが使用されたこと、モスクワが標的は自国領内だったと主張していること、そしてワシントンの新たな許可が、ロシアがすでに重大なエスカレーションと位置づける攻撃へと現実に結びついたことだ。



