欧州委員会は2025年3月26日、初の危機対応準備戦略の一環として、EU加盟国の住民に対し、72時間をしのぐのに十分な食料、水、その他の必需品を自宅に備蓄するよう呼びかけた。ガーディアンによると、EUは、洪水、火災、パンデミック、軍事攻撃のいずれによる危機であっても、その初期段階で各家庭がより自力で対応できるようにすることを望んでいる。この勧告は、抽象的なリスク管理から、日常的な家庭での備えへの転換を反映している。
危機対応準備・危機管理担当の欧州委員、ハジャ・ラビブ氏は、欧州委員会が3日間の自給自足を推奨していると述べた。同氏はソーシャルメディアの動画にも登場し、防水ケースに入れた身分証明書、缶詰、ボトル入りの水、マッチ、スイス・アーミーナイフ、現金、トランプ、医薬品、小型ラジオなどを収めた非常用バッグを紹介した。演出には一部冗談めいたところもあったが、政策上のメッセージは真剣だった。緊急事態が起きてから物資をそろえようとするのではなく、発生前に備えておくべきだということだ。
この戦略は家庭向けの助言にとどまらない。欧州委員会は加盟国に対し、市民の意識を高め、欧州全域で「備えの日」を実施し、このテーマを学校の教育課程に盛り込むことを求めている。また、原材料、避難施設、発電機、さらに場合によっては食料と水を対象とするEUの備蓄戦略も求めている。文書は、欧州は複数部門にまたがる大規模な危機、さらには一つ以上の加盟国に影響する武力侵攻の可能性にも備えなければならないとしている。
この計画は、パンデミックから得た教訓と、フィンランドのサウリ・ニーニスト元大統領による報告書に部分的に基づいている。ニーニスト氏は、加盟国に対する武力侵攻が発生した場合にEUが何をするのか、明確な計画がないと指摘した。新型コロナ以降、EUはすでにワクチンや医療機器の共同購入を通じて危機対応での役割を拡大してきた。新戦略はさらに踏み込もうとするもので、欧州委員会は、今や計画に気候災害、サイバー攻撃、地政学的リスクを含めなければならないと主張している。
すべての政府がこの提案を同じように受け止めるわけではない。ガーディアンは、北欧諸国が以前から緊急事態への備えを奨励してきた一方、他国の首都ではこのメッセージが不安をあおるものと受け止められる可能性があると指摘している。欧州委員会のロクサナ・ミンザトゥ副委員長は、備えを保険になぞらえた。問題が起きる前に損害と苦痛を減らす手段だということだ。この捉え方が提案の核心を表している。EUは市民にパニックになるよう求めているのではなく、備えるよう求めている。
この戦略は、リスク認識をめぐって欧州が分かれている状況も反映している。北欧諸国では、緊急時の手引き、電池式ラジオ、家庭用キットがすでに当たり前になっている一方、他国の政府は、その表現が不安をあおるものに聞こえることを懸念する可能性がある。欧州委員会は、備えを戦時の身構えではなく、通常の市民的習慣に変えることで、この隔たりを埋めようとしている。
だからこそ、ラビブ氏が非常用バッグを公に実演したことには意味があった。バッグの中身がありふれた品々だったのは意図的で、書類、食料、水、現金、医薬品は、実際に人々が最初に必要とするものだ。欧州委員会は、助言を目に見えるチェックリストにすることで、72時間という目標をより理解しやすくし、ブリュッセル発の抽象的なメッセージとして退けにくくしようとしていた。
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