リゾート地パハルガムで多数の死者を出した襲撃事件を受けて緊張が高まるなか、インド軍とパキスタン軍がカシミールの実効支配線沿いで交戦した。

銃撃戦により、すでに外交面で急展開していた危機に軍事的要素が加わった。インド軍関係者はアルジャジーラに対し、パキスタン側が発砲を始めたと述べた。一方、パキスタン統治下カシミールの当局者は、部隊同士が交戦したことを認めたが、どちらが発砲を始めたかは明らかにしなかった。同当局者は、民間人への発砲はなかったと述べた。

銃撃戦は、武装勢力とみられる者らがパハルガムで少なくとも26人を殺害した事件に続いて発生した。インド統治下カシミールでは過去四半世紀で最も多くの死者を出したこの種の襲撃となった。レジスタンス・フロント名義で出された声明が犯行声明を発表した。インド警察は、同組織に関係する容疑者3人の逮捕につながる情報に報奨金を出すとしている。

この襲撃は、外交面での激しい連鎖反応を引き起こした。インドはインダス水利条約から離脱し、パキスタンは運河灌漑事業を一時停止するとともに、インドの航空会社に対して領空を閉鎖した。報復の応酬により、核保有国である隣国同士の関係はここ数年で最悪の水準に落ち込んだ。

両政府は現在、相手側の非難を公には否定しつつ、事態をエスカレートさせる用意があるとの姿勢を示している。パキスタンのカワジャ・アシフ国防相は、イスラマバードが襲撃に関与したとの見方を強く否定し、パキスタンを非難してもカシミールの根本的問題は解決しないと述べた。パキスタン外務省は、インドが自国の権利を侵害した場合は報復する用意があるとし、軍は主権と領土の一体性を守る準備を維持していると述べた。

一方、インドは同地域の警備を強化している。陸軍参謀長のウペンドラ・ドゥイベディ大将は警備態勢を点検するためパハルガムを訪れ、ナレンドラ・モディ首相は地の果てまで実行犯を追い詰めると誓った。治安機関は検問や拘束を強化したと報じられており、住民は銃撃戦に巻き込まれることを懸念している。

国連は最大限の自制を求めている。この警告が重要なのは、国境での衝突が、3度の戦争を経験し、常に軍事的な疑念を抱いている2国間で起きているからだ。限定的な交戦でさえ、世論の圧力をあおり、政治的立場を硬化させ、より広範な衝突の危険を高めかねない。

現時点で現地の事実関係はまだ限られている。銃撃戦が起き、その引き金となったのはパハルガム襲撃事件であり、双方が互いを非難している。しかし、この危機がもはやテロをめぐる疑惑や外交的報復だけの問題でないことは明らかだ。世界で最も危険な対立関係の一つにおける、現実の軍事的・政治的試練となっている。

危険なのは、国境での交戦が双方にとって政治的義務へと急速に変わり得ることだ。インドはパハルガム襲撃に断固として対応できることを示すよう国内から圧力を受けており、パキスタンは自国の領土や権利へのいかなる侵害にも抵抗すると警告している。そのため、軍部隊がすでに近接し、国民の怒りが高まっている場所では、誤算が生じる余地がある。今回の交戦が限定的なものにとどまったとしても、テロ攻撃から国家間のより広範な対立へとすでに発展した危機に、さらに不安定な要素を加えることになる。