カナダ総選挙、トランプ氏の関税と主権への攻撃で様相一変

カナダでは2025年4月28日、ドナルド・トランプ氏のホワイトハウス復帰と、同氏にカナダがどう対応すべきかをめぐる論争によって様相が一変した連邦総選挙の投票が行われた。当初は保守党の圧勝が見込まれる選挙戦だったが、最終世論調査ではマーク・カーニー氏率いる自由党がわずかにリードする接戦となった。

BBCニュースは、トランプ氏の関税と、カナダを「51番目の州」にするという度重なる発言が選挙戦を一変させ、投票を米国との今後の関係を問う国民投票のようなものにしたと報じた。首相を務めていたカーニー氏は、カナダ銀行総裁、後にイングランド銀行総裁を務めた経歴を挙げ、こうした圧力に対処する最適の候補者だと自らを位置付けた。

選挙戦は、11人が死亡したバンクーバーでの車両突入事件という悲劇のさなかに幕を閉じた。カーニー氏は国民に向けて演説するためハミルトンでの行事を中止し、保守党党首ピエール・ポワリエーヴル氏はフィリピン系コミュニティーの人々と面会するため、ミシサガへの訪問を日程に加えた。この事件によって、選挙戦の中心だった経済と主権の問題から一時的に関心がそれたが、それらの争点が消えたわけではなかった。

トランプ氏の関税は、単なる政策上の対立ではなかった。BBCニュースによると、関税は怒りやナショナリズムを引き起こし、アイスホッケーのファンが米国国歌にブーイングするなど、目に見える市民の反応につながった。カーニー氏がワシントンとの従来の関係は終わったと主張した一方、ポワリエーヴル氏は住宅費、生活費、犯罪に焦点を当て、自身が「失われた自由党政権の10年」と呼ぶ時代を経て、カナダ国民には変化が必要だと訴えた。

選挙戦は、小政党の弱さにも左右された。新民主党は議席を失う可能性に直面し、ブロック・ケベコワは、国を挙げての不安から有権者が連邦政界の二大政党へ流れるなか、支持を伸ばすのに苦戦した。保守党にはなお現実的な勝利への道があったが、最終世論調査では、自由党が接戦を維持できるほど支持を取り戻したことが示されていた。

定数343のカナダ下院では、過半数に172議席が必要で、自由党は152議席で投票日を迎えた。この議席計算が重要だったのは、選挙が次期政権を誰が率いるかだけでなく、不安定な連立政権や少数与党による政権運営をせずに済むだけの議席を、いずれかの党が獲得できるかも問うものだったからだ。結果はオタワだけでなく、トランプ氏の発言が選挙戦を決定づける外的要因となったワシントンでも注視されることになる。