イラクの治安当局者によると、イラク西部で行われた治安部隊の急襲作戦は、逮捕を試みられた爆発物ベルト着用の男が自爆する事態に終わり、シリア国境付近で男が死亡し、治安要員2人が負傷した。

当局者によると、急襲はカイム地区のアルハシーム地域で行われた。同地区はシリアと国境を接しており、作戦現場は国内で最も警戒が必要な国境地帯の一つで、イラク軍が「イスラム国」(IS)の残存勢力の活動阻止を繰り返し図ってきた地域に位置する。

その後、イラク国家安全保障庁は、同庁の要員がISの治安担当幹部と護衛2人の隠れ家を包囲したと発表した。護衛の1人が爆発物ベルトを起爆して死亡したとしている。同庁はそれ以上の詳細を明らかにしなかった。

匿名を条件に取材に応じたイラクの治安当局者は、治安部隊に死者がいないことが暫定情報で確認され、要員2人が負傷して治療のため搬送されたと述べた。この説明に基づく直近の人的被害は、実行犯と負傷した隊員2人に限られるが、資料にはその身元や容体は記されていない。

今回の事件は、イラクとシリアにおけるISとの長期にわたる戦いの流れに位置づけられる。AP通信は、同組織がかつて両国の広い地域を支配し、2014年に「カリフ制国家」を宣言したと指摘している。イラクでは2017年、シリアでは2019年に戦場で敗北したが、潜伏組織はいまも攻撃を実行している。

報道は今回の急襲を、より広い地域情勢の中にも位置づけている。12月には、米国がISによるものだと非難したシリアでの攻撃で、米軍人2人と米国人民間人1人が死亡し、その後、米軍が報復攻撃を実施した。AP通信はまた、シリア民主軍が運営する刑務所からIS構成員数百人を移送し、イラク当局が訴追できるようにする作業を、米国とイラクの当局が1月に開始したとも報じた。

こうした広い背景が重要なのは、単独の逮捕作戦でさえ、なぜ今なお致命的な暴力につながり得るのかを示しているためだ。領土を失った後も、ISは細胞組織として潜伏し、武器を保有し、治安部隊を死に至る可能性のある近接作戦へ追い込む能力を維持している。

資料には、急襲の標的が拘束されたのか、ほかの容疑者が逃走したのかは記されていない。また、負傷した治安要員の身元も、国家安全保障庁の発表以外にどの機関が作戦を主導したのかも明らかにされていない。

それでも、重要な事実は十分明確だ。イラク部隊が国境地区の隠れ家を急襲し、容疑者が爆発物ベルトを起爆、実行犯が死亡して治安要員2人が負傷した。こうした詳細は、カリフ制国家崩壊後のISとの戦いが、特に武装勢力が地形や隠れ場所、主要都市からの距離を利用しようとする国境地域で、依然として続いており危険であることを改めて示している。

イラク当局にとって、作戦上の課題は明白だ。潜伏する幹部1人に狙いを絞ったように見える急襲でさえ、政府要員を負傷させる爆発へと発展し、同組織のネットワークが突発的な暴力を起こす能力をなお持つという認識を存続させ得る。

国境付近の民間人にとって、より広い意味も同様に明白だ。ISとの戦いは、10年前に大きく報じられた領土戦とは様相を大きく異にしているかもしれないが、爆発や急襲、報復攻撃の脅威はいまもはっきりと存在している。