英陸軍の衛生兵らが南大西洋にある英国の遠隔海外領土トリスタンダクーニャ島にパラシュート降下し、クルーズ船での感染発生により島内の物資が危機的な水準に陥る中、ハンタウイルス感染が疑われる英国人の治療を支援している。
国防省によると、作戦には第16空中強襲旅団の空挺隊員6人と医療従事者2人が参加し、英空軍のボイジャー機の支援を受けたA400M輸送機から降下した。航空機はブライズ・ノートン英空軍基地からアセンション島へ飛び、その後トリスタンダクーニャ島へ向かった。英国軍にとって初めてとなる今回の作戦では、滑走路がなく人口221人の同島に、酸素と3.3トンの医療物資も届けられた。
BBCの報道によると、トリスタンダクーニャ島にいるこの英国人は4月中旬、クルーズ船MVホンディウスから下船し、その後症状を発現した。現在は隔離されており、容体は安定しているという。報道によれば、男性が最初に下痢を訴えたのは4月28日で、その2日後に発熱した。感染発生時、男性は船に乗っており、島が孤立しているため陸路や空路での搬送は不可能だった。滑走路がないことから、緊急支援を届ける唯一の現実的な手段がパラシュート降下だった。
BBCによると、強風と島の狭い着地場所のため、降下は技術的に困難だった。同旅団を指揮し、作戦を調整したエド・カートライト准将は、この降下を技術的に難しいジャンプだったと説明し、失敗すれば隊員らが大西洋に落ちていた可能性があると述べた。報道によると、空挺隊員らは島のゴルフコースに着地し、展開後に住民から歓迎を受けた。
今回の出来事が重要なのは、公衆衛生対応、遠隔地への物流任務、そして異例の軍による人道支援展開が組み合わさっているためだ。国防省によると、英国軍の要員が人道支援を目的として医療スタッフをパラシュート降下させたのは初めてだった。BBCはまた、支援の対象が感染疑いのある1人だけではなく、その男性と接触した可能性のあるほかの住民にも及んだと報じている。島で通常勤務する2人の医療チームだけでは、この状況に対応できなかったためだ。
報道は、クルーズ船で死者を伴う感染拡大が発生していたとも伝えている。ハンタウイルスの感染者6人が確認され、このうち別の英国人2人が船外で治療を受けているという。ウイルスはげっ歯類によって媒介され、大半の型は人から人へ感染しないが、アンデス型は感染する可能性がある。このため、特に通常の医療搬送手段から遠く離れた小さな島に患者が隔離されている状況では、保健対応の緊急性が高まっている。
英国当局にとって、この作戦は、危機に直面する自国民や海外領土に国家の支援がどこまで及ぶかを試すものでもある。イベット・クーパー外相は、この任務は英国人がどこにいても支援するという決意を反映したものだと述べ、アル・カーンズ国防担当閣外相は困難な状況下で行動した要員らを称賛した。BBCの報道によると、医療上の状況を踏まえ、部隊を船で撤収させる計画が慎重に進められていた。
より大きな構図として浮かぶのは、即応的でありながら規律ある対応だ。遠隔の島、感染症が疑われる患者、物資不足が重なり、通常の搬送体制では解決できない状況が生じた。パラシュート降下任務がその空白を埋め、物流上の緊急事態を小規模な軍事・医療作戦へと転換した。



