出来事の当日、チャールズ3世国王は貴族院で英国議会の新会期を開会し、翌年に向けた政府の立法方針を示した。

BBCによると、演説では、閣僚らが次の議会会期で成立させたい37本の法案が示され、その中には以前に議会へ提出された8本の措置も含まれていた。この行事は正式な議会開会式だったが、サー・キア・スターマーの党首としての地位をめぐる臆測が続く中で行われたため、政治的な緊張も帯びていた。

発表された計画は広範かつ詳細だった。鉄鋼産業(国有化)法案を通じて閣僚がブリティッシュ・スチールを国有化できるようにする計画、欧州パートナーシップ法案によってEUとの合意を支える法整備を迅速化する計画、成長促進規制法案に基づきイノベーションのための新たな試行権限を設ける計画が含まれていた。ほかの措置は、競争審査、金融サービスにおける法令順守の負担、中小企業への支払い遅延を対象とする。

演説では住宅、交通、公共の安全、司法制度も取り上げられた。コモンホールド・借地権改革法案は、イングランドとウェールズで新築集合住宅の借地権方式を禁止し、地代に上限を設ける。社会住宅再生法案は、一部の新築社会住宅を35年間にわたり住宅購入権制度の対象外とし、家庭内暴力の被害者に対する保護を強化する。鉄道・乗客利益法案は乗客監視機関の権限を拡大し、タクシー・民間ハイヤー車両法案の草案は、認可を受けたタクシーとハイヤー車両の全国データベースを創設する。

特に注目を集めた提案には、裁判所と移民制度の改革があった。裁判所近代化法案はイングランドとウェールズで陪審裁判の利用を縮小し、移民・庇護法案は難民資格を取り消しやすくするとともに、庇護希望者への納税者負担による支援を制限する。NHS近代化法案はNHSイングランドを廃止し、患者記録をNHSアプリに移し、市長が指名する人物を地域保健委員会の委員に加える。

ほかの法案はエネルギー、安全保障、憲法上の問題に及んだ。一連の法案には、デジタルID、データセンターに対するサイバーセキュリティー報告、国家とつながりのある団体を禁止する新たな権限、貴族爵位を剥奪する法案、ユーロ2028に関連する措置が含まれていた。選挙権年齢を16歳に引き下げ、外国からの政治献金を制限する法案もあった。

BBCは、この演説が政府計画の概要を示した一方で、閣僚らが翌年に公共部門と規制対象産業をどの方向へ進めたいのかも明らかにしたと伝えた。その意味で国王演説は、儀式的な行事であると同時に詳細な政策地図でもあり、政府が議会でどの分野に政治的資本を投じようとしているかを示した。