北朝鮮のリ・ソングムが、名古屋で開催された2026年アジア大会の重量挙げ女子49kg級で、記録が認定される3部門すべての世界記録を更新して優勝した。北朝鮮に今大会初の金メダルをもたらすとともに、アジア大会の重量挙げで3度の優勝を果たした初の女子選手となった。名古屋市国際展示場では、日本に暮らす北朝鮮系住民の大勢の応援団が、その試技に声援を送った。

リはまずスナッチで94kgを挙げ、それまでの世界基準記録を1kg上回った。続くクリーン&ジャークでは116kgに成功し、最後の試技で121kgを挙げて、その世界記録をさらに更新した。両種目の最高記録を合わせたトータルは215kgとなり、それまでの世界記録を7kg上回った。

この結果、28歳のリはアジア大会3大会にわたり、3度目の優勝を達成した。2018年のジャカルタ大会では48kg級、2023年の杭州大会では49kg級で優勝している。AFPによると、これまでアジア大会の重量挙げで金メダルを3個獲得した男子選手は、イランのモハンマド・ナシリとベフダド・サリミ、韓国のキム・テヒョンの3人だけだった。4度優勝した重量挙げ選手はいない。

インドのミラバイ・チャヌーはスナッチ87kg、クリーン&ジャーク111kgのトータル198kgで銀メダルを獲得した。インドネシアのディアナ・トリ・ウィジャヤナはスナッチ88kg、クリーン&ジャーク103kgを挙げ、トータル191kgで銅メダルを手にした。東京五輪銀メダリストで2017年世界選手権優勝者のチャヌーにとって、アジア大会では初のメダルとなった。

リの世界記録は、最近改定された国際的な階級制度の下で生まれた。国際ウエイトリフティング連盟は、次の五輪サイクルに向けた準備の一環として8月1日に新たな体重別階級を導入し、それぞれの世界基準記録を設定し直した。選手がその新たな基準を超えると、世界新記録として認定される。リは基準に並んだだけではなく、明確に上回った。

一方、五輪への道筋は単純ではない。2028年ロサンゼルス五輪では女子49kg級は実施されず、重量挙げは女子6階級、男子6階級で行われる予定だ。五輪の女子最軽量級となる53kg級に移る可能性を問われると、リは階級変更を検討する意向を示した。

リは五輪に出場したことがない。北朝鮮は新型コロナウイルスのパンデミック中に延期開催された東京大会への参加を見送り、2024年パリ大会でも重量挙げ選手の出場資格を得られなかった。それでも名古屋では、リは王座防衛に成功すると同時に3部門で新たな基準となる記録を打ち立て、アジア大会の歴史に再び名を刻んだ。