ドバイ発テルアビブ行きのフライドバイ機が9月30日、副操縦士が機長を刺したとされる事件の後に急降下し、サウジアラビアへ緊急着陸した。乗客と乗員が襲撃者を取り押さえる一方、客室にいた非番のパイロット2人が操縦を引き継ぎ、タブークに着陸させた。
BBCの報道によると、ボーイング737 MAXは2分足らずで約1万7,000フィート、メートル換算で約5,200メートル降下した後、安定を取り戻した。乗客らは、機体が落下する中で客室に悲鳴が響き、体に強い力がかかったと語った。その後、数人が操縦室に入り、襲撃者を制圧した。ある搭乗者によると、取り押さえに加わった乗客のうち3、4人が軽傷を負った。
インド国籍のスミット・マッチャル機長は襲撃で負傷した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、副操縦士に抵抗し、より大きな惨事を防ぐことに貢献したとして、機長を公に称賛した。襲撃したとされる人物はサウジアラビア当局に逮捕され、取り調べを受けた。初期報道の時点で当局は動機を解明しておらず、ネタニヤフ首相は、サウジアラビアによる調査の後、アラブ首長国連邦(UAE)、そしておそらくイスラエルの捜査官も加わると述べた。
フライドバイは当該便をFZ1073便と明らかにし、UAEとイスラエルを結ぶ全便の運航を一時停止した。同社は、停止期間中に当局が経緯を解明できるようにすると説明し、規制当局、政府機関、空港と連携していると述べた。事件前は、この路線を毎日10便運航していた。
BBCが確認した写真には、タブークの地上にある機体と、尾部の方向舵の一部に見られる損傷らしきものが写っていた。航空専門家は、原因はまだ分からないと注意を促した。考えられる説明の一つは、もみ合いや降下からの回復中に強い操縦操作が行われ、異常な応力がかかったというものだが、これはあくまで専門家の見立てであり、調査で確認された結論ではない。
この事件では、通常は強化され施錠されている操縦室に、乗客がどう入ったのかも問題となった。目撃証言では、緊急事態の最中に乗員1人と乗客らが入ったとされるが、正確な順序は不明だった。航空専門家は、操縦室の扉には操縦室側から操作する電子式の施錠システムが使われており、詳細は機種によって異なると指摘した。
乗客らは後にイスラエルへ向かい、ベングリオン空港で出迎えを受けた。サウジアラビアとイスラエルには正式な外交関係がないものの、サウジアラビアの医療関係者は事件の負傷者を治療した。イスラエルの閣僚は、乗客を受け入れ支援したサウジアラビア当局に謝意を示した。
今後の捜査では、襲撃者の動機、操縦室への立ち入りがどのように行われたか、機体尾部の損傷原因を解明する必要がある。その結果が出るまでは、この事件をテロと呼ぶ表現は、確認された捜査上の結論ではなく、政治的な位置付けにとどまる。



