ニューヨーク州バッファローにある105戸の低廉な住宅を提供する集合住宅に、容量3.75メガワット時(MWh)のリチウムイオン蓄電池システムが設置された。予備電源の確保と、地域の電力網における需要管理の支援を目的としている。開発事業者のGood Carbon Co.は、ピース・ブリッジ・プレースの全面的な電化と近代化に向けた幅広い取り組みの一環として、ViridiのRPSLinkINシステムを選んだ。
蓄電池は屋内の7つの部屋に分散して配置され、Viridiのエネルギー管理ソフトウェアで制御される。停電時には、建物に予備電力を供給できる時間を延ばす設計となっている。平常時には、料金の高いピーク時間帯から電力使用を移すほか、電力網が需要の削減や追加の調整力を必要とする際に対応できる。
ピース・ブリッジ・プレースには、地中熱を利用した冷暖房、生活用給湯設備の改善、建物外皮の改修も盛り込まれている。これらの対策を組み合わせることで、化石燃料を使う設備への依存を減らし、集合住宅の運営費の中でも特に大きい項目の一つを抑えることを目指す。Good Carbonは、ピーク需要に伴う料金の削減とデマンドレスポンス・プログラムへの参加が、住宅の長期的な低廉性の維持や保守管理を支え得るとしている。
この事業は、ニューヨーク州エネルギー研究開発局のFuture Grid Challengeを通じて支援を受けている。また、配電網で柔軟に電力網の状況へ対応する技術を試すNational Gridの実証事業にもなっている。Viridiの制御システムはEnergyHubの分散型エネルギー資源管理システムと連携し、電力需要が高まる時間帯に、建物がNational Gridからの信号に反応できるようにする。
この連携によって、蓄電池は二つの役割を担う。建物単位では、蓄えた電力が居住者の停電への対応力を高め、所有者が高額な電力消費を避ける助けとなる。電力網単位では、同じ蓄電容量が制御可能な分散型資源として機能し、すべての対応を従来型の発電所や電力会社規模の蓄電池施設に頼ることなく、負荷を軽減できる。
屋内に設置されていることは、この設備の大きな特徴だ。Solar Power Worldは、米国で人が居住している住宅建物の内部に設置されたリチウムイオン蓄電池システムとして、最大級の一つである可能性が高いと伝えた。これは全国的な順位を確定するものではないが、その規模から、人々の生活空間に大容量の蓄電設備を導入する事例として注目される。こうした方式が他でも採用されるかどうかは、安全性能と安定した運用に大きく左右される。
Viridiはバッファローで蓄電池システムを製造しており、地元の施設では現在、年間約400MWhを生産でき、拡張の余地もあるとしている。同社はピース・ブリッジ・プレースを、蓄電設備が一つの建物と、より広範な電力網の両方に同時に役立つことを示す実例と位置づけている。
低廉な住宅を運営する事業者にとって、実際の評価の焦点は、停電への対応力、ピーク需要に伴う費用の節減、電力網向けサービスの収入が、設備と運用の費用に見合うかどうかだ。ピース・ブリッジ・プレースは今、こうした利点に加え、大規模な屋内システムを暖房、建物の制御設備、電力会社のプログラムと統合する際の要件を測定するための、実際に人が暮らす建物の事例となっている。



