発生日:2026年6月25日。 ベスビオ・チャレンジの研究者らは、巻かれた状態のヘルクラネウムのパピルスを仮想的に展開して連続的に読み解く作業を完了し、壊れやすい遺物を物理的に開くことなく、現存する文章を復元した。プロジェクト内で「巻物4」と呼ばれるPHerc. 1667は、西暦79年のベスビオ山噴火で炭化した。

この成果が対象とするのは、古代に存在した巻物全体ではなく、保存されている内側の芯部分である。19世紀、1969年、1980年代に物理的に開こうとした試みで外層が破壊され、元の高さが推定19~24センチだったもののうち、高さ約8センチの密に固まった部分が残った。研究チームはその残存部分から、約22段分の下部を再構成して解読した。

作業は、グルノーブルにある欧州シンクロトロン放射光研究所のBM18ビームラインで、高解像度の位相コントラストX線マイクロトモグラフィーを行うことから始まった。研究者らは立体データ内で固く巻かれたシートをマッピングし、再構成した表面をデジタル処理で平らにした上で、炭化したパピルスと見分けにくいインクを可視化するため機械学習システムを適用した。その後、パピルス学者が解読結果を調べ、転写した。

復元された作品は、倫理と哲学に関する論考である。人間の本性、衝動、道徳的進歩についての議論に加え、ストア派哲学者クリュシッポスのおいで弟子でもあったアリストクレオンへの言及があることから、ストア派の文脈と紀元前2世紀という年代が示唆される。損傷によって欠落や断片的な箇所が残っているため、これは現存部分の連続的な解読であり、損なわれていない完全な文章ではない。

発表では、ほかの2本の巻物に関する進展も説明された。PHerc. Paris 4では、より高解像度の撮像によって、三次元X線データ内でインクを直接視認できるようになった。その文章を再構成した表面に投影すると、2023年の優勝解読結果と一致し、改良された撮像法による独立した検証となった。PHerc. 139では、研究チームが表題と著者名を復元し、エピクロス派哲学者フィロデモスによる『神々について、第8巻』だと特定した。

パピルスを所蔵するナポリ国立図書館「ヴィットリオ・エマヌエーレ3世」も、この研究に協力した。ベスビオ・チャレンジは、EduceLabのブレント・シールズ氏が主導した撮像・ソフトウェア研究を基に発展し、ナット・フリードマン氏、ダニエル・グロス氏と共同で、寄付によって運営される公開コンテストとして設立された。現在の研究者の数人は、当初は出場者として参加していた。

プロジェクトは、トモグラフィーデータ、再構成された表面、転写文をクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で公開し、コードはGitHubで公開した。この開放性により、専門家は個々の解読を検証し、作業手順を応用できる。封印された巻物は数百本残っており、再現性と規模拡大は、最初の端から端までの成果と同じくらい重要である。機械学習による強調処理だけで文字や解釈が決まるわけではないため、独立した学術的検証が引き続き不可欠である。公開されたスキャンと表面データにより、パピルス学者は見解が分かれる痕跡を比較し、別の読み方を提案し、撮像プロセスへの信頼度と、再構成された個々の箇所への信頼度を分けて評価できる。