OpenAIの内部言語モデルを用いて得られた数学的証明をめぐり、ナビエ–ストークス方程式のミレニアム懸賞問題を「解いた」とは何を意味するのか、議論が強まっている。クレイ数学研究所が公表した問題文の一つの選択肢を満たすとみられる一方、9月22日の報道で研究者らは、長く中心的課題だった外力のない場合は未解決だと指摘した。
ナビエ–ストークス方程式は流体の運動を表す。賞金100万ドルの問題では、滑らかな解から特異点、つまりある量が際限なく大きくなる「爆発」が生じるかなどを問う。研究の大きな焦点は、人為的に設計した外力を加えず、流体自身の動力学だけでそのような破綻が起きるかどうかにある。
OpenAIの構成は、特別に設計された力で爆発を起こす別の道筋を採る。数学者チャールズ・フェファーマン氏が2000年に書いた当初の問題文には、外力を認める選択肢がある。その解釈に従えば、後から規則を変えたのではなく、明示的に許された定式化を扱っている。
ただし科学的には区別が重要だ。研究者は、その力はきわめて作為的で現実的な流体に想定されるものとは違うと述べている。シカゴ大学のルイス・シルベストレ氏はScientific Americanに、クレイの定式化は解決されても、最も重要な形は未解決のままかもしれないと語った。書かれた課題に適合することと、その課題で明らかにしたかった大きな問いは一致しない。
その後、3人の数学者が、OpenAIの方法から外力を単純に取り除くことはできないとする別の証明を公開し、論争が深まった。報道によれば、外力なしでは爆発が消える。これが正しければ、外力なしの解決へ少しずつ変形できる中間段階ではなく、大きく異なる着想が必要になる。
研究の経緯も複雑だ。ディエゴ・コルドバ氏とルイス・マルティネス=ソロア氏は、特異な挙動を起こす外力を構成する研究を進めていた。別の2人の数学者がその研究とAIを使い、9月7日に摩擦のない流体で爆発を得た。OpenAIは1日もたたずにナビエ–ストークスの結果を報告し、役割や功績の帰属をめぐる別の議論も生まれた。
こうした論争が、新しい証明の形式上の意義を消すわけではない。外力のある系が破綻する方法を示すとともに、有名な問題の選択条項が「解決」の意味を左右することを浮き彫りにした。今回の仕組みが設計された力に依存する、という境界も明確になった。
なお残るのは、特別に選んだ外部入力で駆動しない流体について、正則性を示すか、爆発を見つける課題だ。OpenAIの結果は問題文の外力を認める分岐を満たす可能性があるが、外力のない、より深い問いへの答えにはなっていない。



