2025年5月6日に公開された個人的な回顧記事で、NeXTの元システムエンジニア、スティーブ・ヘイマン氏は、1991年のメール別名の設定ミスによって、スティーブ・ジョブズから個人的に受け取った唯一のメッセージ「Great idea, thank you(素晴らしいアイデアだ、ありがとう)」が届いたと述べた。この記録はNeXT初期の、小さいながらも異様なほど鮮明な一幕を描いている。当時、同社の社内メールシステムはまだ目新しく、一般ユーザーが数回クリックするだけでメールを転送し、独自の別名を試せるほどだった。
ヘイマン氏は、カナダにいた数少ない社員の一人で、1991年10月にNeXTへ入社したと記した。同氏によると、同社の各社員には名の頭文字と姓を組み合わせた標準メールアドレスが自動的に付与されていた一方、一部の社員は転送フォームを通じて、より特徴的な別名を申請できた。スティーブという名の社員が数人いたにもかかわらず、誰もsteve@next.comを使っていないことに気づいた同氏は、ある金曜日の深夜、自分用にその別名を申請することにした。
記事によると、申請は自動的に承認された。その後、スティーブ・ジョブズに宛てたつもりの人々から、誤送信されたメールが殺到した。ヘイマン氏は、受信箱に記者、最高経営責任者(CEO)、金融関係者からのメッセージがたまり始めたと述べた。同氏は、その別名によって重要な連絡がしばらくの間、誰にも気づかれず誤った人物へ転送される可能性があったと悟り、この意図しない設定にたちまち動揺したという。
ブログ記事によると、ヘイマン氏はその後、steve@next.comがジョブズ本人のアドレスであるsjobs@next.comを指すよう転送設定を修正した。その後、ジョブズにメールを送り、何が起きたのかを説明した。ジョブズは短い文面で「Great idea, thank you(素晴らしいアイデアだ、ありがとう)」と返信した。ヘイマン氏によると、これはジョブズから個人的に受け取った唯一のメールであり、後になって印刷して額に入れようかとも考えたという。
この記録が注目に値するのは、やり取りの長さよりも、NeXTのメールシステムを取り巻く文化について示唆する点にある。ヘイマン氏によると、同社のメールソフトは、1991年当時としては異例なほど先進的に見えた添付ファイル機能やマルチメディア機能に対応していた。記事が描くのは、コンピューター業界で最も著名な人物の一人が設立した会社でさえ、メールアドレス、別名、メッセージ転送といったインフラの細部が、なお思いがけない事態を生み得た社内世界だ。
ヘイマン氏はまた、ジョブズからのメールでキャリアを始め、ティム・クックからのメールで終えたと述べ、この話を自身のキャリアの始まりと終わりを示すものとして位置付けた。この細部により、記事は単なる懐旧的な逸話以上のものとなっている。また、テクノロジー界で最も影響力の大きい人物たちでさえ、フォームを1件送信するだけで変更できる単純な業務システムに依存していたことを思い起こさせる。
この記事は外部報道ではなく回想録風のブログ投稿であるため、より広い意味での重要性は限定的だが、基礎となる事実は単純明快だ。別名の申請が承認され、誤送信されたメッセージが続き、転送設定が修正され、ジョブズが2語で返答した。その結果、1990年代初頭のシリコンバレーのコミュニケーション文化と、後に社内伝説となり得る偶然のやり取りを垣間見せる簡潔な記録となっている。
![1984年1月、スティーブ・ジョブズとMacintoshコンピューター。撮影:バーナード・ゴットフリード。コンピューター画面上の画像は、橋口五葉(1921年没)作の「髪梳ける女」[メディア]。…](/media/articles/commons-79f3da51ae94.avif)


