Googleは、利用者が自撮り動画を登録し、照合用の映像を同社のサーバーに保存する、任意のアカウント復旧方法を導入した。登録した利用者が後にアカウントへアクセスできなくなった場合、ログイン手続きの一環として、新たに撮影した動画を保存済みの動画と比較できる。
10月20日に紹介されたこの機能は、パスキーを保存した端末を失った人に向け、復旧用の電話番号やメールアドレスと並ぶ予備の手段と位置付けられている。登録時には、ログイン済みの利用者が案内に従って頭を動かし、複数の角度から顔をカメラで撮影する必要がある。復旧には静止画ではなく、別途撮影した動画を使う。
提供された報告によると、Googleは、本人がその場にいるかを確かめるライブネス検知、合成メディアの検出、一部の端末では実際のカメラで撮影されたことを示す信号を用いる。異なる端末でも復旧方法を使えるようにするため、照合はGoogleのインフラ上で行われる。照合用の動画を、登録に使ったスマートフォンだけに保存する選択肢については説明されていない。
この構成は、一般的な端末内の生体認証によるロック解除とは異なる。パスキーでは、顔や指紋の確認を端末内で行い、その後、生体画像ではなく暗号学的な証明をオンラインサービスに送ることができる。一方、自撮り動画による復旧では、後の比較に使える動画をGoogleが保持する必要がある。これはアカウントへのアクセスを回復するための予備手段であり、主なログイン方法としてのパスキーに置き換わるものではない。
利用者は、登録した動画を削除し、外見が大きく変わった後に新しい動画を撮影できる。報告によると、Googleの通常の削除処理には、稼働中のシステムからの消去に約2か月、バックアップからの消去には最長6か月かかる場合があり、セキュリティー、不正防止、法的な理由でさらに長く保持される可能性もある。Googleは動画をログインに使用すると説明しており、同社の認証技術の改善に協力するかどうかは任意としている。
復旧経路が増えることで、明確な利点と引き換えの負担が生じる。動いている顔を映した動画は、本人を写真や単純な偽物と区別する助けとなり、ほかの方法が使えない場合にアクセスを回復できる可能性がある。一方、端末をまたいでこの機能を使えるようにするには、照合用データを提供企業の管理下に置き続ける必要がある。パスワードと違って、顔は流出後に取り替えられない。
こうした懸念を提起している情報源は、プライバシー重視のサービスを提供するGoogleの競合企業Protonだ。そのため、将来の用途についての幅広い予測は、Googleが発表した方針ではなく、同社の立場からの主張として扱う必要がある。この記事に提供された証拠の範囲では、Googleは、登録された復旧用動画を広告、汎用的なAIの学習、年齢推定に使うとは発表していない。
登録を検討する利用者にとって、当面の判断はより限定的だ。復旧手段が一つ増える利便性が、再利用可能な顔の映像をクラウドに保存することに見合うかどうかである。利用しない人は引き続きパスキーと既存の復旧用連絡先を使える。利用する人は、この機能に付随する保存期間と技術改善に関する設定を確認する必要がある。


