発表日:2026年6月15日。
Irohは4年以上にわたるオープンな開発を経てバージョン1.0に到達し、初の安定版リリースとなった。これは、鍵をアドレスとして使用するピア・ツー・ピア接続を中心に構築されたアプリケーションに対する互換性維持の約束でもある。同プロジェクトは、暗号鍵を永続的なエンドポイントアドレスとして使用する。これは、変化する可能性があるほか、ファイアウォールの背後では到達不能になり得るIPアドレスに直接依存する方式の代替となる。
Irohのモデルでは、同じ鍵がエンドポイントを識別すると同時に、その通信を保護する。デバイスがネットワーク間を移動してもアドレスが維持されるため、アプリケーションは固定された公開IPを管理せずに接続を試みることができる。接続はネットワーク境界を越え、可能な場合はデバイス間で直接行われ、直接経路を利用できない場合はリレーを使用するよう設計されている。メンテナーによると、一般的な接続ではデータの95%が直接転送されるが、発表ではこの数字の根拠となるデータセットは示されていない。
1.0という節目は、通信プロトコルと言語向けAPIの両方を対象とする。Irohによると、実装言語やマイナーリリースにかかわらず、バージョン1のエンドポイント同士は通信できる。将来、言語APIは通信互換性を維持しながら独立して進化できる一方、通信プロトコルを破壊する変更はメジャーリリースに合わせて行われる。この約束は、1.0以前に公開された65のバージョンよりも明確なアップグレード境界を開発者に提供する。
公式サポートは現在、Rustクレートだけでなく、Python、Node.js、Swift、Kotlinにも拡大している。外部関数インターフェースの作業は、APIの急速な変更によって保守負担が大きくなりすぎたため、以前は停止されていた。安定したインターフェースとともに再開されたことで、このスタックをサーバーやデスクトップソフトウェアだけでなく、iOSおよびAndroidプロジェクトにも組み込めるようになった。各バインディングには、文書と自動生成されたAPIリファレンスが付属する。
メンテナーは用途として、動画ストリーミング、大規模モデルの訓練、エージェント間通信、安全なメッセージング、ゲーム、ファイル転送などを挙げている。また、直前の30日間に公開リレーで2億を超えるエンドポイントが作成され、この技術が数百万台のデバイス上で稼働しているとも述べている。これらはプロジェクトが報告した活動数であり、固有の利用者数や継続的に稼働しているインストール数ではない。
Irohは一般的に使用される`n0`プリセットを通じて公開リレーを運用しており、リリース後、通常は24時間以内に更新する予定だ。古いクライアントとの互換性を損なうリレーの変更には、新しいURLが割り当てられる。リレーソフトウェアはオープンソースである一方、同社はホスト型リレーサービスも販売している。公開リレーを通過する通信にはレート制限があり、その制限は変更される可能性がある。
したがって、バージョン1.0は開発の終了というより、インターフェースと相互運用性に関する契約を意味する。開発者は引き続き、それぞれのネットワーク環境で接続経路確立の挙動、リレーへの依存度、性能を検証する必要がある。今回のリリースでは、プロトコルの境界を固定し、Irohが対象とする主要アプリケーションプラットフォーム向けに保守されたバインディングを提供することで、その評価が容易になる。



