クマのナディアの最後の写真 宮城県塩釜市で、まるで映画のようなクマの“逃走劇”が続いている。事の始まりは9月19日夜。塩釜市新浜町周辺でクマの目撃情報が相次ぎ、警察がパトロールをしていたところ、午後8時半ごろ、岸壁付近で体長およそ1メートルのクマ1頭を確認した。追い詰められたクマはそのまま港に停泊していたマグロ漁船へ逃げ込み、タラップを伝って船内へ侵入。甲板を歩き回ったり、船首部分で横になったりしながら、約4時間にわたって船上にとどまり続けた。当時、漁船には3人の乗組員がいたが、全員が鍵のかかる操舵室などの個室に避難したため、クマとの直接的な接触はなく、けが人も出なかった。市側は状況によっては「緊急銃猟」の実施も検討していたが、クマは捕獲される前に自ら別の行動に出た。
20日午前1時ごろ、クマは船上から突然姿を消した。警察などは、クマが船から海へ飛び込んだとみている。港の岸壁は海面から2メートル以上の高さがある場所もあり、通常なら陸上へ戻るのも簡単ではない。しかし約1時間後の午前2時20分ごろ、漁港からおよそ1キロ北東に離れた海岸近くの茂みで、市の職員が再びクマを目撃した。このため市は、クマが海を泳いで別の場所まで移動し、そこから陸へ上がった可能性が高いと判断している。その後、クマは再び姿を消し、警察や市、猟友会などが周辺の捜索と警戒を続ける事態となった。
このクマは突然塩釜港に現れたわけではない。周辺では9月18日夜から体長約1メートルのクマの目撃が相次いでおり、新浜町の道路や公園などでも確認されていた。警察は、漁船に乗り込んだ個体と、それ以前から市内で目撃されていたクマが同一である可能性が高いとみている。港周辺には水産関連の事業所や住宅も多く、早朝や夜間に働く人も少なくないことから、市は住民に対して不要な外出を避けることや、クマを見つけても近づかないことなどを呼びかけていた。塩釜市ではこうした場所でクマを見ること自体が珍しく、地元の水産関係者からも驚きの声が上がった。
しかし、“漁船に隠れ、海へ飛び込み、そのまま行方不明”で終わったと思われた今回の出来事には、さらに続きがあった。9月23日午前10時半ごろ、塩釜市内で釣り船に乗っていた人から警察に「クマが海を泳いで島に入っていった」と110番通報が入った。目撃された場所は塩釜市の離島「内裡島」で、クマは海から上陸した後、島の東側の斜面を登っていったという。確認された個体の体長は約1メートルで、市は数日前にマグロ漁船へ逃げ込んだクマと同じ個体とみている。内裡島は無人島で、現時点で人的な被害は確認されていない。



