173件の国際研究を検討したレビューは、生成AIが学生の批判的思考を高めるか損なうかについて、単純な答えはないと結論づけた。同じ道具でも、疑問を立てて考えを比較するために使えば深い推論を助ける一方、完成した答えを受け取るだけなら依存や表面的な作業につながりうる。

対象は2022年から2025年春までに発表された、学校や高等教育でのAI利用に関する研究だ。ノルウェー科学技術大学の教員教育部門に所属する博士課程研究者ヒルデ・ストローサーテル氏が、チェコの大学の研究者らと、批判的思考や自力での問題解決への影響を調べた。

中心的な知見は、指導方法によって効果が二方向に分かれるという点にある。AIは議論の検証、対立する見方の探索、自分の推論の発展を支援できる。しかし、それらの過程を代行すると、課題が本来育てるはずの思考を練習する機会が失われる。研究者はAIの有無より、その使い方を重視している。

研究の蓄積には大きな限界もある。対象者の80%は大学・高等教育機関の学生で、推論能力が発達途中にある子どもの情報は少ない。多くの研究は長期の客観的な測定ではなく、本人の経験報告に依存する。地域的にも偏りがあり、アフリカ、南米、中央アジアの一部は特に十分に調べられていない。

若年層の情報探索が変わるなか、この不足は重要だ。報告書が引用したノルウェーのメディア当局の調査では、9~18歳のGoogle検索利用率は2024年の72%から2026年の47%へ下がった。11~12歳の39%がAIを使うという。若者向け情報サイトung.noの訪問数も、2024年の2,400万から2025年には1,800万へ減少し、一因としてAIツールやGoogleの生成要約が挙げられている。

ただし、このレビューは変化をAIだけが引き起こしたとは示していない。また成人学生の結果を、そのまま10歳や14歳への影響とみなす根拠にもならない。学校が判断するには、より長期的で、年齢別に分けた研究が必要だとしている。

教育者にとっての課題は、学習者が自分で行うべき部分を理解することもAIリテラシーに含めることだ。教員研修には、技術を批判的に評価して使う力と、児童・生徒が考える過程を手放さない授業を設計する力の双方が求められる。ストローサーテル氏は低年齢の子どもへの利用は慎重にし、教員の方針の下で行うべきだとしている。学習の補助になるか知的な近道になるかは、道具単体ではなく、課題設計、指導、情報源の吟味にかかっている。