米連邦最高裁は、2026年11月の中間選挙を前に、郵便投票に対する新たな連邦政府の制限を実施できるようにすることを認めず、米郵便公社による規則の実施を一時的に差し止めた下級審の命令を維持した。この判断は、ドナルド・トランプ大統領の政権にとって当面の打撃となるが、政策が適法かどうかを最終的に判断したものではない。
トランプ氏が3月に出した大統領令は、市民権保有者の名簿に記載された有権者に限って投票書類を配達するよう郵便公社に指示した。また、郵便投票用封筒に固有のバーコードを付けることや、州と地方の選挙当局者がオンラインのポータルを通じて、郵便投票用紙を受け取る有権者の情報を提供することも求めた。政権は、これらの措置は不正対策となり、郵便公社の権限の範囲内にあると主張した。
23州と首都ワシントンは、この大統領令が、選挙を実施する州の憲法上の役割を侵害するとして提訴した。選挙当局者も、投票直前の手続き変更は、遅延、混乱、投票の不受理を引き起こしかねないと警告した。郵便職員の労働組合は、窓口職員を研修する時間が足りないと述べた。一部の州はすでに投票用紙の配布を始めており、別の州では選挙用の印刷物が完成していて、差し替えには多額の費用がかかる状況だった。
ブレット・カバノー判事は、差し止めを維持する最高裁の判断に同調した。同判事は、最終規則が郵便公社の法的権限の範囲内にあると最終的に認められる可能性はあるものの、2026年の選挙中に適用することは恣意的かつ専断的に当たると結論づけた。サミュエル・アリート、クラレンス・トーマス両判事は反対意見を示し、異議を申し立てた側が最終的に勝訴する見込みは薄いと述べた。これらの立場は、訴訟が続く中、本案の是非については依然として決着がついていないことを浮き彫りにしている。
今回の最高裁の措置により、ボストンのインディラ・タルワニ連邦地裁判事が9月4日に出した差し止め命令が維持される。タルワニ判事は、選挙が近づいた時期にこれらの措置を導入すれば、有権者が投票権を行使できなくなるおそれがあると判断した。連邦控訴裁判所は同判事の命令の効力停止を認めず、この争いが緊急案件として最高裁判事らに持ち込まれる前には、別の連邦判事も独立に、この政策を認めない判断を下していた。
実務上の影響の大きさは州によって大きく異なる。オレゴン、ワシントン、コロラドの各州は、投票の大部分またはすべてを郵便投票に頼っている。共和党の州選挙当局者7人も、直前の変更はミスと混乱を生むという警告に加わった。一方、フロリダ、ルイジアナ、モンタナなど、共和党が主導する州は、裁判所に提出した書面で政権を支持した。地方の選挙管理担当者らは、通常の準備を続けながら、不測の事態に備える計画も立てていると述べた。
トランプ氏は判断を批判し、共和党に損害を与えるものだと述べた。この政策に反対する法律関連団体は、選挙の混乱を防ぐものとして歓迎した。こうした政治的反応によって、この判断の限定的な法的効果が変わるわけではない。新要件は目前の中間選挙には適用できないが、裁判所は今後、より詳細な審理を経て、その一部またはすべてを適法と認める可能性がある。
有権者と選挙事務を担う機関にとって、実際の結果は現状の継続となる。既存の郵便投票の手続きが当面は維持され、選挙準備がすでに進んでいる段階で、郵便規則が全国一律に変更される事態は回避される。連邦政府の郵便に関する権限が、州の運営する投票制度をどこまで左右できるのかという、より大きな争点は、今回の緊急段階の判断後も引き続き争われる。



