ディスプレーではなくキーボードを再現
新しいフォントプロジェクトが、往年のCommodore 64のキーキャップに印字された文字や記号を写真から再現した。デスクトップ用フォント、ウェブフォント、編集可能なアウトライン、ブラウザーで確認できる見本とともに公開されたC64 Keyboardは、このコンピューターのよく知られたビットマップの画面表示用書体ではなく、物理的なキーボード上の印字を対象としている。
この違いは重要だ。Commodore 64のキーには、通常の文字以上の情報が記されていたからだ。多くのキーには、修飾キーとの組み合わせで入力できるPETSCIIの図形記号も印字されていた。このプロジェクトは、同機の大文字・図形モードで、左側の印字をCommodoreキーとの組み合わせに、右側の印字をShiftキーとの組み合わせに対応させている。上向き矢印キーに印字されたπの記号も考慮している。
字形は元の写真を自動トレースしたものではなく、幾何学的に整えながら再構成したものだ。プロジェクトの説明によると、文字の種類とキーの割り当てはUltimate Commodore 64 Referenceと照合した一方、輪郭の太さ、曲線、印字の縦横比といった細部はキーボードの画像から推定した。元の写真はリポジトリに同梱されていない。
フォント、ウェブ上のプレビュー、元のアウトライン
利用者はデスクトップアプリケーション用のTTF・OTFファイルをダウンロードするか、付属のウェブフォントを導入できる。完全版パッケージには、文字を試し打ちできるHTMLのプレビューが含まれる。プレビューのボタンから特殊キーやPETSCIIの文字を挿入し、そのテキストを別のアプリケーションにコピーしてC64 Keyboardの書体を適用できる。これらの記号はフォントの文字割り当てに依存するため、コピーしたテキストを意図した見た目に保つには同じフォントが必要になる。
小文字で入力した文字は、再現対象の視覚的な仕組みに合わせて大文字で表示される。リポジトリには、プレビューの操作機能だけに頼るのではなく、文字コードやキーの組み合わせを理解したい人向けのキーマップと符号化ガイドもある。編集可能な字形のアウトラインはビルドツールとともに収録されており、完成済みのバイナリのフォントファイルに限らず、内容を調べたり改変したりできる。
管理者はバージョン1.107を旧版に代わる現行版と位置付け、更新後も古い版が表示されるアプリケーションについては再起動するよう案内している。
このプロジェクトは、デジタル保存の中でも特定の領域を扱っている。エミュレーターやビットマップフォントがC64の画面に表示されたものを保存するのに対し、この書体が保存するのは利用者が指の下に見ていた文字のデザインだ。再構成したアウトラインを、その参考となった写真から分離し、比率の決定に判断を要した箇所を記録することで、資料に裏付けられた部分と、解釈を伴うデザイン作業による部分も明確にしている。



