水が定住規模の上限を決める

Frontiersが9月14日に取り上げた分析によると、月の極域の氷は基地や小さな町を数世紀にわたって支えられる可能性があるが、新たな供給源や再利用技術の大幅な進歩がなければ、人口100万人の都市を維持できる可能性は低い。研究者のマーティン・エルビスとジョナサン・マクダウェルは、人口と再利用について異なる条件を設定し、現地の推定水資源量を使って居住地をどのくらいの期間維持できるかを検討した。

最も楽観的なシナリオでは、利用可能な水が10億トンあることを出発点とし、国際宇宙ステーションの値として挙げられている水準に相当する98%の再利用効率を仮定している。こうした好条件の下でも、人口100万人の都市は100年余りで資源を使い果たす。再利用を行わなければ、同じ人口が数年以内に使い切ってしまう。

著者らがより少ない推定量を当てはめると、見通しはさらに厳しくなる。Frontiersによると、月の水について現時点で最も妥当とされる推定量は、モデルで使われた多めの上限値のおよそ30分の1だ。この水準では、比較的小さな都市でも約10年で水が尽きる可能性がある。人口1000人の居住地や1万人の町であれば、資源への負担ははるかに小さく、数世紀にわたって維持できる可能性がある。

水は月の両極付近の永久影になっているクレーターに集中している。その底部には数十億年にわたり直射日光が当たっておらず、温度が110ケルビン未満に保たれることがあるため、運ばれてきた水は宇宙空間へ逃げず、氷として残ることができる。周回探査によって氷が存在するとみられる場所の地図は作られているが、現在の調査技術で通常探れるのは表面から数メートルまでに限られる。より深いレゴリスには、まだ測定されていない追加の水資源が含まれている可能性がある。

エネルギーは水より確保しやすいとみられる

この分析では、電力は比較的対処しやすい制約とされている。氷の堆積がある場所の近くのクレーターの縁には、長時間にわたって日光が当たり、太陽光発電の設置場所になり得る。研究者らは、太陽電池アレイで覆われた高さ1キロメートルの構造物で約3ギガワットを発電できると推計し、月には、いずれ現地でのパネル製造を支え得るシリコンが存在することも指摘している。

この対比は、月面での産業やコンピューティング基盤の構想にとって重要だ。太陽光で豊富に発電できても、人々の生活、食料生産、工業工程で使う水が不要になるわけではない。大規模な居住地は、依然として極めて効率的な回収システムと、想定した量の氷を採取できるという確証に依存することになる。

著者らはいくつかの対応策を挙げている。垂直農法などの方法で需要を減らすこと、再利用効率を数倍に高めること、到達可能な小惑星から水を運び込むこと、あるいは地表下で大幅に多くの氷を見つけることだ。いずれも工学的な複雑さが増し、外部から供給する場合には継続的な物流も必要になる。

この研究は実現可能性の推計であり、月の資源を調査し終えたものではない。したがって、その結果は人類の定住を否定するものではない。むしろ、比較的実現性の高い基地や小規模な町の見通しと、自給自足する大都市規模の人口を抱える構想とを区別している。分析が示唆するところでは、月面都市の計画を持続可能なものとみなすには、その前に探査によって、利用できる水がどれほど存在するのか、採取がどれほど難しいのか、そして将来の居住地が閉鎖型の水循環にどこまで近づけるのかを明らかにする必要がある。