民主党議員のグループは10月30日、AI主導の投資ブームが崩壊した場合に、支払い不能に陥った人工知能(AI)企業やその経営幹部を連邦政府が救済することに反対する下院決議案を提出した。これは現在検討されている救済策に関するものではなく、政治的な意思表明だが、危機が起こる前に原則を打ち出そうとするものだ。

この取り組みを主導したのは、議会進歩派議員連盟のグレッグ・カサー会長と、下院金融サービス委員会の民主党筆頭委員であるマキシン・ウォーターズ議員だ。プラミラ・ジャヤパル、ラシダ・タリーブ、ブラッド・シャーマン、ジャン・シャコウスキー各議員を含む、ほかの下院議員12人も加わった。決議案は、公共政策が守るべきなのは労働者、年金受給権者、低所得層の地域社会であり、投資や経営判断の失敗による損失から投資家や経営者をかばうべきではないと主張している。

決議案は議会と連邦政府機関に対し、支払い不能となったAI関連企業を通常の破産手続きの外で存続させることを目的とする緊急融資、直接的な資本注入、その他の特別支援を拒否するよう求めている。また、経営幹部を責任追及から保護することに反対し、危険な行為や違法行為によって企業の破綻を招く一因を作った経営陣への退職時の支払いも認めないとしている。

一方、議員らは、AI分野の不況が経済全体に波及した場合には、家計を対象とした強力な対応を求めている。具体策として挙げているのは、雇用を生み出す連邦政府支出、州・地方自治体の行政サービスの継続、失業保険、食料支援、住宅支援だ。さらに、年金や退職基金を保護する措置、金融面の透明性の強化、景気後退時に消費者支援が自動的に始まる安定化措置も提案している。

提出議員らは、2008年の金融危機の経験を踏まえて決議案を位置づけている。カサー議員は、経営に行き詰まったAI企業は破産手続きを利用すべきで、詐欺を行う経営幹部は責任を問われるべきだと述べた。ウォーターズ議員は、巨額の資金が投じられたテクノロジー分野とウォール街の投機による損失を納税者が負担すべきではないと主張した。これらは議員らの見解であり、この発表によってAI市場の暴落が差し迫っていることや、連邦政府による救済が提案されていることが確認されたわけではない。

決議案に盛り込まれた事実関係や経済に関する主張は、立法過程で検証されることになる。提出議員らは、AI関連企業が透明性の低いプライベートクレジットを通じたものも含め、多額の債務を積み上げる一方、株式の評価額は1990年代後半のテクノロジーブームを思わせる水準に近づいているとしている。また、規制当局が複雑な資金調達の仕組みを十分に精査していないとも主張している。

全米教員連盟、Americans for Financial Reform、Center for Responsible Lending、Future of Life Instituteなど、労働、消費者金融、テクノロジー政策の分野の団体が決議案を支持した。これらの支持により、提案には組織的な支援基盤がある。ただし、発表では共和党の賛同議員は示されず、法的拘束力のある法律の成立に至る道筋も説明されなかった。現時点ではこの決議案は、将来AI分野で金融ショックが起きた場合に、その負担を政府がどのように分担させるべきかについて、支持者の考えを記録することが主な役割となっている。