ロシアのチェリャビンスク州の裁判所は、アカデミー賞受賞ドキュメンタリー映画『Mr Nobody Against Putin』を複数の動画配信プラットフォームで禁止した。ロシア国内で同作に対して裁判所主導の制限が課された既知の事例としては初めてとなる。
ガーディアンが掲載したAFPの報道によると、裁判所は歴史上の出来事の日付である2026年3月26日、このドキュメンタリーが「テロリズム」と「現政権に対する否定的な態度」を促進していると判断した。同作はロシアの動画配信サービス3社からも削除されたとされる。
このドキュメンタリーは、ロシア・チェリャビンスク州の学校内で行われる戦争支持のプロパガンダ授業を追っている。学校の映像担当者パベル・タランキン氏が2年間にわたって密かに撮影した映像を基に構成され、同氏は後にその素材を国外へひそかに持ち出した。映画には、子どもたちがウクライナの「非ナチ化」についての講義を聞く場面、退役軍人による演説、手りゅう弾投げ競技、銃の扱い方の指導などが含まれている。
今回の判断に先立ち、ロシア大統領府が任命した人権評議会が同作について苦情を申し立てていた。同評議会は、この作品が保護者の同意を得ずに未成年者の映像を使用したと主張し、映画芸術科学アカデミーに調査開始を求めるとしていた。裁判所はまた、同作が白・青・白の旗を使用したことにも異議を唱えた。この旗は一部の反戦野党関係者が使用している象徴だが、ロシアでは過激主義的なものとして禁止されている。
この判断の重要性は、配信の問題にとどまらない。ガーディアンによると、海賊版がすでにオンラインで広く入手可能になっているにもかかわらず、裁判所を利用して同作へのアクセスを遮断した既知の事例はこれが初めてだ。この点が重要なのは、ウクライナ戦争をめぐる反対意見が長年にわたり広範に弾圧されてきた後も、国家の検閲制度が適応を続けていることを示しているからだ。
映画の背景は、作品が記録する戦時下の状況と切り離せない。クレムリンは4年前にウクライナへの全面攻撃を開始して以来、戦争への批判に対する規制を強化し、教育課程の変更や公的なメッセージ発信を通じて、自らの見解を学校に浸透させてきた。タランキン氏は2024年にロシアを離れ、それ以来このドキュメンタリーは、そうしたメッセージがどのように生徒へ伝えられるかを示す最も広く知られた記録の一つとなっている。
同作が3月上旬に獲得したアカデミー賞と、2月に受賞した英国アカデミー賞によって、ロシアでの禁止に先立ち世界的な観客を得た。しかし裁判所の措置は、賞による注目が政治的に機微な作品を国内の報復から守るわけではないことを改めて示している。今回の判断は、同作の公的な注目を収束させるというより、ロシア当局が今なお同作を制限に値する脅威とみなしていることを確認するものとなっている。
ロシア国外の視聴者にとっては、同作がすでにオンラインで流通しているため、この決定の直接的な影響は限定的かもしれない。しかしロシア国内では、裁判所命令によって国家の立場が正式なものとなった。教室でのプロパガンダを扱ったドキュメンタリーそのものが、政治的な害悪の一形態として扱われている。



