Google DeepMindは2026年8月8日、熱帯低気圧の進路、強度、風の構造を予測するために設計されたAI予報モデル「WeatherNext 2」と「WeatherNext Cyclones」をオープンソース化すると発表した。同社によると、Natureに掲載された結果では、予測のリードタイムが平均で24時間以上延びた。

DeepMindは、この向上を次のように説明した。WeatherNextによる3日前の予測は、従来のシステムが2日前の時点で示した予測と同等の精度だった。同社は、この改善が気象予報における約10年分の進歩に相当すると位置付けた。これらは同社の評価に基づく主張であり、提供された証拠には論文の詳細な表や、運用面での独立した評価は含まれていない。

サイクロン予測では通常、異なるスケールの要件が競合する。大規模な大気の流れは暴風雨の進路を左右し、全球モデルで表現される一方、強度は中心付近の局地的な過程に依存し、より高い解像度が有効となる。WeatherNextは、全球の気象とサイクロン固有の挙動を1つのモデルで扱い、この隔たりを埋めようとしている。

このシステムは、約20テラバイトの全球大気データと、約5,000件の過去の暴風雨を収録したIBTrACSアーカイブを用いて、エンドツーエンドで訓練された。DeepMindは2023年と2024年のサイクロンを対象に、決定論的および確率論的な結果を主要な気象モデルと比較して評価した。全球の状態を起点として、気象と詳細なサイクロン進路を最長15日先まで反復的に予測できる。

現在のワークフローでは、活動中のサイクロンごとに1,000通りの想定シナリオを生成する。このアンサンブルにより、熱帯暴風雨級およびハリケーン級の風について局地的な確率マップを作成し、予報官に単一の固定進路ではなく、起こり得る結果の幅を提示する。共同研究には、Google Research、米国立ハリケーンセンター、大気研究協同研究所、英国気象庁、その他の気象機関が参加した。

DeepMindによると、このモデルは2025年のハリケーンシーズンに使用され、国立ハリケーンセンターがハリケーン「メリッサ」の急発達とジャマイカ上陸を予測するうえで役立った。同社は、その予報が警報の早期化と準備時間の確保につながったとしているが、提供された抜粋では、より広範な予報プロセスの中からWeatherNextの寄与だけを切り分けてはいない。

オープンソース化により、研究者や予報機関はハリケーン対応で使われたモデルを利用できるようになる。DeepMindは、再生可能エネルギーの計画や、気象の影響を受けるその他の意思決定への応用可能性も指摘している。ただし、利用可能になっただけでは、各機関がシステムを導入するための計算資源、地域データ、専門知識を備えているとは限らない。

サイクロン予報は依然として確率的なものであり、専門の予報官や公的警報に取って代わるのではなく、それらを支援するために用いるべきだ。1時間でも長くなれば備えに役立つため、報告された改善は重要だが、実社会での価値は、地域をまたぐ信頼性、まれな暴風雨の挙動、過去の評価データセットを超えた運用条件に左右される。オープンアクセス化によって、より広範な検証も可能になるはずだ。