出来事の日付:2026年8月5日

承認によりmRNA技術をインフルエンザ予防へ導入

米食品医薬品局(FDA)は8月5日、モデルナのmFlusivaを50歳以上向けに承認し、メッセンジャーRNA技術を用いたインフルエンザワクチンとして初めて同局の承認を受けた製品となった。モデルナは、今秋のインフルエンザ予防接種キャンペーン中にワクチンを供給できるようにする計画だった。

この決定により、すでに新型コロナウイルス感染症と関連づけられているワクチンプラットフォームが、季節性インフルエンザにも広がる。ウイルスを鶏卵で培養する必要がある場合もある従来型インフルエンザワクチンと異なり、mRNA製品は標的とする病原体に合わせて選ばれた遺伝情報を用いる。この手法は開発期間を短縮できる。承認について伝えたタイム誌によると、mFlusivaの製造工程は約6週間で、既存の製造方法では最長6カ月かかる。

インフルエンザワクチンは各シーズンに先立って組成が決められるため、その期間の差は重要だ。専門家はどの株が流行する可能性が高いかを評価し、メーカーに標的を推奨するが、予測が最終的に拡散するウイルスと一致するとは限らない。製造サイクルが短くなれば、ワクチンメーカーはシーズン開始により近い時点で株を選べるようになり、一致度が向上する可能性がある。

大規模試験で既存ワクチンと比較

モデルナは、50歳超の参加者4万人以上を対象とした無作為化試験の結果を提出した。各参加者は、mFlusivaを1回接種するか、既存の4種類のインフルエンザワクチンのいずれかを接種した。mFlusivaを接種した参加者は、比較対象ワクチンを接種した人と比べ、検査で確認されたインフルエンザ様疾患を発症する可能性が平均で27%低かった。この研究は2026年5月にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載されたと、タイム誌は報じた。

このワクチンが審査に至るまでの道のりは順調ではなかった。2月、FDAは当初、申請には適切な対照群がなく、選ばれた比較対象が利用可能な最善の医療を代表しているのか疑問があるとして、モデルナに受理拒否通知を出した。同局は、65歳以上の人の転帰を、この年齢層に用いられる高用量ワクチンと比較したデータを求めていた。モデルナは追加情報を提出したと説明した。

同社の科学者と幹部がFDAと会合を開いた後、モデルナは50~64歳の成人について正式承認を、65歳以上について迅速承認を目指し、併せて高齢者を対象とする追加試験を計画した。その後、FDAは方針を転換し、申請の審査に同意した。

今回の承認により、mFlusivaの当初の市場は高齢層の成人に限定される。また、毎年のインフルエンザ予防接種キャンペーンが始まるなか、この年齢層の臨床医と患者に新たな選択肢を提供する。より迅速なmRNA製造によって流行株との一致度が継続的に高まるかどうかは今後のシーズン次第だが、今回の承認によって、米国のインフルエンザワクチン製造に新たな技術的経路が確立された。